猫ブログ

ヒマワリのはなし

ヒマワリ

2013年8月に次女が、線路脇で雨にうたれ動けない子猫を見つけた。

家に連れ帰り病院で診てもらったところ、腰骨が粉砕骨折して下半身不随、肛門も塞がっており、このままでは排泄できないので、もって数日の命と宣告されてしまった。

エイズ検査にも陽性反応を示し、体中にカビが生え腐臭を放っている。

手術をしても後ろ足には障害が残る可能性が高いと、獣医師からは説明を受けた。      しかし、手術しなければ子猫の命は風前の灯火だ。後遺障害や手術・入院中のあらゆるリスクについて同意して手術に踏み切った。                           粉砕骨折した腰骨の手術を終えて退院してきた直後が、左下の写真である。

先住猫のゴンタは連れ帰った子猫を警戒し、隠れて出てこなくなってしまった。       ゴンタも存外と繊細なのだ。食事もまともに摂らなくなり、心配だ。

でも、願いは通じる。左足に多少の障害は残ったものの、元気に飛び跳ね、走り回るようになった。今では、グランドピアノの上へも華麗なジャンプを見せる。              猫エイズも陰性へと転じた。あれほど避けていたゴンタも、子猫の一途ないじらしさに絆されたのか、今では仲良くじゃれあい一緒に体を寄せ合って寝ている様が微笑ましい。互いに体を舐め合う姿を見ていると、心が日向にいるかのように暖かく充たされていく。

過酷なノラ時代のトラウマか、家族以外は極端に人を恐れ、インターホンが鳴るとパニックになるほど慌てて隠れ、出てこない。窓の外で子供たちの遊ぶ喚声が聞こえると、震えながら身を低くして隠れ場所を探す。姿を見せないので、獣医師以外には、幻の猫となっている。

一方で家族には甘え、呼ぶと擦り寄り、どこをどれだけ触っても嫌がる様子を見せない。もちろん肉球も。妻が体調を崩して寝込んだ際には、心配するかのように妻の手を舐め、傍らから離れようとしなかった。子猫のときは、よく妻の肩の上に乗っかることもあった。肩乗り猫だ。  話しかけると都度、返事をする。人の言葉を理解しているかのような行動を取り、妻は半ば本気で、そのうち会話ができるようになると信じているようだ。賢い猫であることは間違いない。

今ではとても元気なのだが、便秘気味なのが気懸かり。トイレで何度も踏ん張るのだが、後ろ足が弱いのですぐに倒れてしまう。何度も繰り返した挙句、最後は嘔吐して苦しそうに衰弱した様子を見せる。マッサージや食事を工夫しても、なかなか効果が出ない。病院で浣腸をしたときは本当に苦しそうで、二度とこんな辛い思いはさせたくないと心に誓う。獣医師に薦められた便通に効果のある食事を色々と試し、今は随分と改善したが、他の子たちが食べている食事と異なるので、かわいそうではある。他の猫が食べている食事を羨ましそうに眺めるのだが、「ごめんね。こっちの食べ物を食べないといけないんだよ」と声をかけると、諦めて自分の皿に向かう様子が健気だ。

優しくて賢い猫だ。尻尾の先が曲がっていて、三毛の毛並みが可愛らしい。

ヒマワリと名付けた。その名の如く陽を受けて眩しいほど輝き、周りを明るく照らしてくれている。我が家の美しく咲き誇る花であり、輝く太陽でもある。






                                      須磨 光

ゴンタのはなし

ヒマワリ
ヒマワリ
ヒマワリ

ゴンタは一番最初に我が家の家族となった猫である。オスのアメリカンカールで、耳が後ろに反り返っているのが特徴だ。

柔らかい長毛が体中を覆っており、随分と大きく見えるが中身はスリムで体重は4キロほどに過ぎない。

子猫のときは宅配便のお兄さんが玄関にのっそりと歩いてきたゴンタを見て、「ライオンの赤ちゃんですか!」と驚いたことがある。(ホントの話し)

ゴンタの性格はツンデレで、猫らしい猫だ。ヒマワリは名前を呼ぶと声で返事をしたうえで擦り寄ってくるが、ゴンタは見向きもしないで尻尾だけで返事をする。ヒマワリはいくら撫でても、肉球を触っても嫌がらないが、ゴンタはブラッシングしてと自ら要求してくるくせに、過ぎると手で叩かれるか噛まれてしまう。ゴンタが若いときは手や足が傷だらけになったものだが、最近は傷つけないように甘噛みしたり肉玉で叩くものだから、痛くないどころかどこか心地よい。

私の毛髪を嘗めるのもゴンタだけだ。家人はゴンタが病気になると嫌がっている。子猫のときは私の胸のうえでよく寝ていた。起こすのが嫌だったので、いつまでも動くことができなかったことを覚えている。成猫になると途端にこなくなったが、最近はまたベッドのうえで横にくっついて寝るようになった。遅くなるとベッドの横で早くこいと待っている。一晩の中でヒマワリと一緒に寝たり、私のベッドにきたりと、ゴンタの中で毎日のルーティンがあるようだ。

ヒマワリとは仲がいい。先住猫のゴンタに遠慮しているところもあるようだ。私が出かけるときは、必ずゴンタよりも一歩後ろに下がって玄関先で見送る。ご飯のときもゴンタが見てると食べるのを止めてしまう。お互いに体を舐め合い、くっつきあって寝ている。追いかけっこをして遊ぶが、エキサイトすると最後はヒマワリがゴンタをねじ伏せる。人にはどこまでも従順なヒマワリだが、猫同士ではとても気が強いようだ。

ゴンタは年をとって胃腸の調子が悪くなった。下痢を繰り返すようになったのだ。ヒマワリの便秘とは正反対の症状である。いろいろな薬を処方してもらったが、砕いてスープに混ぜても大好きなフードにかけても、匂いをかぐと決して口をつけようとしない。おなかがすいても絶対に食べない。獣医も困って、軽い下痢止めをフードに混ぜてみたらこちらは食してくれた。今のところ少ない下痢止めでよくきき、2~3週間くらい快調となるのでこれで様子を見ている。

ゴンタもヒマワリも、どこか悪いところを抱えているが、どうか長生きして欲しい。願わくば私よりも。猫たちに見取られて最後を迎えることが私の夢だ。

                                須磨 光

モカのはなし

末っ子のモカ(♂)は、短い手足が特徴のマンチカンである。とにかく好奇心と食欲の旺盛な、フレンドリーで気のいい子だ。ご飯を出すと飲み込むようにあっという間に平らげてしまう。お腹が床についてしまわないよう、肥満には気を遣う。好奇心も旺盛なので、恐れることなく何にでも関心を示す。ゴンタはそんなモカに対して無関心だ。近くにいても気にも留めないが、手を出されたりお尻の匂いを嗅がれたりすると、叩いたりしてやめさせようとするが、その程度では怯まない。右上の写真のように、モカはゴンタに興味津々だがゴンタの方は関心がない。

困るのはミケ猫のヒマワリとの仲だ。モカは「仲良くしようよ」とばかりに尻尾をピンと立てて、何度もアプローチするのだが、ヒマワリは殺意をを持って襲い掛かるのだ。鋭い爪と牙でモカの毛は毟り取られ血が滲む。少しずつでも慣れれば同居できるのではと何度か試したが、やはり駄目なようだ。モカの姿を見るや否や臨戦態勢に入るヒマワリをみて諦めざるを得なかった。我が家は猫たちが自由にどこでも行き来できるよう猫の通り道をあちこちに設けているのだが 、ピアノのある防音室だけは密室となっているのでモカはここが棲家となった。ゴンタやヒマワリに比べ世界が狭く気の毒である。不憫でしかたない。ヒマワリが許してくれる日がいつかくることを願うばかりである。              須磨 光    

ゴンタとヒマワリ 仲良いひと時

後からきたヒマワリは先住猫のゴンタには遠慮しているところがある。たとえば食事を譲ったり、後ろで一歩控えていたりと・・・。      その一方でで気は強いので喧嘩になるとゴンタでも打ち負かしてしまうし、弟猫のモカには殺意をもって本気で襲い掛かる。          ゴンタは孤高の猫だ。自分に構わなければ誰でも周りにいて気にしない。あまり縄張り意識はないようだ。ゴンタとヒマワリはたまに、まるで恋人同士のように仲良い様子を見せることもある。                                          須磨 光  

ゴンタとヒマワリ いってらっしゃい

私が仕事に出かけるとき、ゴンタはよく玄関まで見送りに出てくれることがある。面白いのは仕事に出かけるときだけで、プライベートでの外出では決して見送らない。私の出勤時間は一定ではない。その日のスケジュールによって早朝であったり、昼過ぎだったり、夕方からのこともある。 服装であったり、仕事用の鞄の有無で判断しているのだろうか。一方、外の世界を恐れるヒマワリが玄関まで見送りにくることはめったにない。 たまにゴンタと一緒に見送ってくれることがあるが、それでもゴンタよりも一歩下がって、後ろに控えることは忘れない。     須磨 光   

ゴンタとヒマワリ 微妙な距離

ゴンタは難しい性格だ。孤高の猫の雰囲気も醸し出している。幼児の頃から一緒に育ったゴンタとヒマワリの関係は微妙だ。          特別に仲が良いわけでもないが、つかず離れずの距離を保っている。たまにゴンタがヒマワリに対して毛づくろいをすることがあるが、あまりに執拗だとヒマワリが怒ってしまう。ゴンタがヒマワリに喧嘩を仕掛けることもある(その逆はない)が、いつも最後はヒマワリがねじ伏せて終わるのだ。ゴンタ、ヒマワリ、モカの中でヒマワリが最軽量で唯一のレディなのだが、最強もまたヒマワリなのだ。           須磨 光

ヒマワリ 特別な存在

猫には厳しいヒマワリだが、人には優しく誰よりも賢い。少なくとも私よりは賢いだろうと感心する。ゴンタはお気に召さないと噛んだり爪を立てたり、シャーと声を荒げて威嚇するが、ヒマワリは如何なる場合も優しい。モカも、人にも猫に対しても穏やかな性格なのだが、かまって欲しいときには甘噛みしてきたりする。あくまでおとなしい性格ということなのだが、ヒマワリは違う。おとなしいのではなく、無限の優しさを持っているのだ。ヒマワリの優しさを考えると、深淵を覗き込む感覚に陥る。私にとって、特別な猫なのだ。                      私が名前を呼ぶとヒマワリはいったん足を止めるが、1回は聞こえなかったふりをしようとしてスルーされる。しかし、2回目には「仕方ないな」という態で、私のもとにゆっくりとだがやってきて、手の甲をペロペロと舐めてくれるのだ。妻が呼ぶと、どこにいても1回で喜び勇んだ様子で駆けてくる様とは、少しだけ扱いに差があるようなのだが・・・。                                       ヒマワリには何もかも見透かされて、その肉球のうえで転がされているのではにかと思ってしまう。                須磨 光

ゴンタの治療

ゴンタは下痢と下血が続き体重が激減して一時どうなるかと心配したものだが、下痢止めのディアバスターがよく効いて点滴で食欲も回復したことからすっかり持ち直した。ただ、軟便は常態化したのでディアバスターは手放せず、2週間ごとにかかりつけ医のところで点滴と注射をずっと続けている。この写真は点滴中のゴンタを撮影したものだ。2週に1回の治療は日常化し、ゴンタも賢いところがあるのでそろそろかなと感じると隠れてしまったりするので、キャリーケースに入れるのに毎回一苦労する。                                    慢性病は抱えているが体重も変わらず元気で、一病息災とはまさにこのことだなと診療のたびに実感させられる。

ゴンタとモカ

ゴンタとモカは、仲が良いわけではない。ときに喧嘩もするが、たいていは我関せずで微妙な距離を保っている。

モカ

韓流ドラマに夢中になるモカ

頭をのせてくつろぐモカ

ワインを温めるモカ

仲睦まじいゴンタとヒマワリの前で佇むモカ

ゴンタ

美しい横顔

脱力タイム

リクライニングチェアでリラックス

牙をむくゴンタ・・・相手は私・・・どうして?

廊下の階段で横になるゴンタ



ソファーの背に乗るゴンタ

のびーるゴンタ

さっきとは反対の向きになるゴンタ

ゴンタの病気

ゴンタの具合が急激に悪化した。これまでも消化器に持病を抱え、下痢や軟便を凝り返していた。2週に1度のペースで動物病院へ通院し、点滴と、軟便対策にはディアバスター薬でコントロールして、これまではうまくいっていた。昨年5月中旬、急に酷い下痢を患い、食欲もなく水も飲まず、隅でうずくまるばかりで、みるみる衰弱していった。    体重も激減し、見るからに痩せ細っていく。よろよろとして歩くこともままならない。トイレにまでも、辿り着けなくなった。

動物病院での血液検査では腎臓病ではなく、原因不明とのこと。  5/23-5/27まで入院し、精密検査したところ病名が明らかとなった。 悪性リンパ腫とのことだった。抗がん剤治療をすることになって食欲と元気を取り戻したのだが、余命宣告を受けた。余命3か月。抗がん剤とステロイド錠を併用するのだが、ステロイドの効果が3か月程度で切れるので、その後手の打ちようがないらしい。効かなくなるのは個体差もあるとのことだが、長くても半年が限度とのことで3か月から最長半年の余命とのことだった。さて、薬をどうやって飲ますかが問題だった。

錠剤を細かく砕き、スープやお気に入りのフードに混ぜてみるものの、匂いを嗅いで口にしてくれない。そこで最後の手段。一人が抑えてもう一人が口の中に放り込む。この荒業が上手くいった。嫌な顔をしながらも吐き出すことなく、飲み込んでくれたのだ。

目標を家族が揃う正月も元気でいることに定めた。まずは最初の関門、3か月を元気に迎えることができた。次は6か月。これも元気にパスした。そして目標とした正月も元気いっぱいで過ごすことができた。

上限と言われた半年をとっくに過ぎ、2/8現在、とても元気である。体重は病気の前よりむしろ増えた。毛艶もよくなり走り回って、高くジャンプし、むしろ若返った感すらある。良い便が出るようになり、ディアバスターが不要となった。2009年1月17日生まれのゴンタ。無事に元気で15歳の誕生日を迎えることができた。もう目標を設定することはない。来年も元気で誕生日を迎えられると信じている。

ゴンタ

廊下とリビングを繋ぐ猫用出入口でくつろぐゴンタ

モカ

玄関前に置いておいた箱の中に入ってみるモカ

モカ

ゴンタ